「睡眠は食事同様、生命現象の基本中の基本。睡眠不足は栄養
不足と同じようなもの」と、国立精神・神経センター精神保健
研究所の白川修一郎客員研究員。眠りの質の低下はさまざまな
病気の発症につながると警告する。特に注意が必要なのは、高
血圧だ。睡眠不足は心臓に負担がかかり、狭心症や心筋梗塞、
脳卒中(脳出血、くも膜下出血、脳梗塞)などによる突然死の
リスクを高めることが研究でわかっている。肥満が気になる人
も要注意だ。米コロンビア大学が約8000人に実施した研究の結
果によると、睡眠が5時間以下の人は、7~9時間の人に比べて
73%も太りやすかった。これは「睡眠不足になると、食欲を抑
えるレプチンという物質が減り、逆に食欲を高めるグレリンと
いう物質が増えるため」である。
「理想の睡眠は7時間。6時間半~8時間眠る人は健康リスクが低
い!」人間は寝ているあいだにたまったストレスを解消させた
り、脳の機能を回復させている。睡眠が5時間以下になると、脳
の前頭葉の働きが障害を受け、注意・集中力、判断力、記憶・学
習能力、感情のコントロール力、意欲など、認知機能全般が低下
する。では、どうやって睡眠不足を解消するか。白川氏がビジネ
スマンに勧めるのは、昼寝の習慣だ。食後に15~20分のあいだ仮
眠するだけで、午後の仕事はかなり楽になるという。午後早めの
短い睡眠であれば、夜に眠れなくなることもない。また、睡眠不
足の人は、就寝時間を30分ずつ早めていくと解消できるという。